導入事例

始まったWiMAXの企業導入――店舗やデジタルサイネージにも活用

文◎村上麻里子(編集部) 2010.05.17

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JR東日本の駅構内ではWiMAXを活用した
デジタルサイネージの設置が進んでいる
(写真は東京駅中央通路)

商用サービス開始から半年以上が経過し、エリア整備も進んできたモバイルWiMAX。企業ユーザーにとって、どのような活用の可能性があるのだろうか。WiMAXの特徴を活かした導入事例を紹介する。

モバイルWiMAXの特徴は下り最大40Mbps、上り最大10Mbpsと3G携帯電話を上回る高速データ通信が行えることだ。また、固定ブロードバンドとの比較では、無線でブロードバンド環境を構築できるため敷設コストを大幅に削減できるメリットを持つ。

2009年7月にUQコミュニケーションズが開始したモバイルWiMAXサービスは懸案だった基地局整備にも目途が立ち、ようやく軌道に乗ってきたところだ。

そうしたなか、こういったWiMAXの特徴をビジネスに活かす動きが徐々に出始めている。一体、企業にとってWiMAXはどのような価値を持つのか。本稿では、事例を通して見ていくことにしたい。

導入費用を約6割削減

まず紹介するのは、UQの株主でもあるJR東日本のグループ会社の導入事例だ。

JR東日本リテールネット(J-Retail)は、管内の駅構内でコンビニエンスストア「NEWDAYS」や売店「KIOSK」などを運営する。

2009年8月、NEWDAYSの店舗情報システム(RICSS)が更改時期を迎えたのを機に、NEWDAYSの一部店舗や専門店など計89店舗のPOSレジと本部を結ぶRICSSの通信回線にWiMAXを採用した。

J-Retailによると、こうしたシステムの更改は5~6年ごとに発生する。前回は回線コストが安いという理由からISDNを採用したが、帯域が狭いため、本部への売上データの送信は夜間にまとめて行わなければならないなどの不便さがあった。

また従来は、店舗運営用のストアコントローラー(POSレジや在庫検品用のハンディーターミナルなどの周辺機器と連携して、店内の様々な業務を集中的に管理するコンピュータ)を1店舗に1台設置していたが、他店や本部からは詳細なデータを把握しづらいという問題の解決と、ハードウェアコストを削減するため、更改に合わせて本部側のデータセンターにストアコントローラーを一元化した。このため、本部側と各店舗をつなぐ高速回線が必要になったという。

そこで選択肢として挙がったのが、ADSLとWiMAXだった。速度では両者の間にほとんど差はないが、ADSLのケーブル敷設工事には1店舗当たり数十万円の費用がかかる。JR東日本では頻繁に駅舎の改良工事が行われており、そのたびに店舗を移設しなければならず、毎回ケーブルを引き直していたのでは負担が大きい。

その点、WiMAXならば店舗の移設時やリニューアル時に工事費用が発生しないため、大きなコスト削減効果が見込める。今回も敷設工事がない分、ISDNやADSLと比べて導入費用を約6割削減できたという。J-Retail取締役経営企画部長の山本信也氏は「WiMAXを導入したことによるメリットの99%はコスト」と言い切る。

新システムでは、Wi-Fi機器をWiMAXネットワークに接続するゲートウェイ装置「WiWiGW」を設置することで、LAN側はWi-Fi、WAN側はWiMAXというネットワーク環境を実現しており(図表1)、ほぼリアルタイムに近いかたちで売上データや店舗ごとの売れ筋情報を本部に転送できるようにもなった。

 

NEWDAYSでは、レジ横にある「WiWiGW」を介して店舗内の機器がWiMAXのネットワークに接続されている


図表1 NEWDAYSの導入事例(クリックで拡大)
WiMAX事例 NEWSDAYS

その一方で課題もある。

 

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