導入事例

始まったWiMAXの企業導入――店舗やデジタルサイネージにも活用

文◎村上麻里子(編集部) 2010.05.17

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JR東日本の駅構内ではWiMAXを活用した
デジタルサイネージの設置が進んでいる
(写真は東京駅中央通路)

商用サービス開始から半年以上が経過し、エリア整備も進んできたモバイルWiMAX。企業ユーザーにとって、どのような活用の可能性があるのだろうか。WiMAXの特徴を活かした導入事例を紹介する。

2.5GHz帯で運用されるWiMAXの電波は直進性が強く、遮蔽物があっても透過する性質がないため、安定した通信速度を確保するためには基地局と店舗のターミナルとの間を直線で結べるようにしなければならない。このため、地下の入り組んだ場所や立て込んだ場所などもカバーするには、多くの基地局が必要になる。

また導入当時はWiMAX対応エリアが山手線内や横浜、川崎の一部に限定されていたことから、406あるNEWDAYSの全店舗にWiMAXを導入するには至らなかった。

しかし、山本氏はWiMAXのコスト削減効果と高速安定通信を評価しており、「WiMAXのエリア拡大に伴い、今後新設・リニューアルする店舗は可能な限りWiMAXに切り替えていきたい」と話す。

HSDPAと同じコストで高速化

同じくJR東日本グループのジェイアール東日本企画(jeki)では、鉄道広告の一環として「デジタルポスター」(デジタルサイネージ)を展開し、その回線にWiMAXを採用している。

デジタルポスターは、駅構内の柱に65インチのフルハイビジョン対応縦置きモニターを設置し、画像を表示するというもの。08年7月に東京駅八重洲南口で開始、2010年1月末時点で秋葉原・新橋・横浜など首都圏6駅で計77面が稼動している。

 

 

JR東日本の駅構内ではデジタルポスターの設置が進んでいる。東京駅京葉通路(左)、秋葉原駅中央口(右)


サービス開始当初は通信回線にイー・モバイルのHSDPAサービスを利用していた。しかし、静止画だけでなくデータ容量の大きい動画も流すためにはより安定した高速データ通信が必要という理由から09年11月以降、WiMAXに切り替えたという。

交通媒体本部・媒体開発部長の山本孝氏は「HSDPAとランニングコストはほぼ同程度でスピードアップできた」と話す。

WiMAXモジュールは、配信センターから送信されてくるコンテンツを受信する「親」となるデジタルポスターにのみ搭載し、そこからは無線LANで他のデジタルポスターに転送する仕組みだ(図表2)。

 

図表2 デジタルサイネージのネットワークイメージ
WiMAX デジタルサイネージのネットワークイメージ


デジタルポスターが紙のポスターと大きく違うのは、絵柄が切り替わることと、時間で制御できることである。「駅ごとに異なる内容の広告を流したり、同じ駅でも時間帯によって内容を変えることで、広告媒体の価値を高める」(山本氏)。

紙のポスターと比べてデジタルポスターは出稿料が割高だが、画像を動かしたり複数の画像を映し出すことができる点に魅力を感じる企業から申し込みがあるという。

一般的に、屋外広告が通行人の目に止まる「平均接触時間」は3秒程度といわれる。駅という場所柄、足早に通り過ぎる人が多いとはいえ、あまり短時間に画像を切り替えていたのでは、1枚当たりの情報を読みきることができない。デジタルポスターの1枠の表示秒数は15/30/60秒の3パターンあり、駅によって異なる。例えば新橋駅や東京駅京葉通路のように駅利用者の動線に沿って複数面を展開している場所では、長い動画の方がアイキャッチ効果が高まるという。「いろいろな場所に設置しているので、こうしたノウハウは少しずつ蓄積されてきている」と山本氏は話す。

jekiでは渋谷や大宮など新たに拠点を増やし、3月末までに首都圏11駅154面まで拡充する計画。拠点と面の数の増加に合わせて、複数の駅のセットや週単位・月単位での配信などさまざまな選択肢を用意し、クライアント数を増やしていきたい考えだ。

 
 

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