LPWA「ローラ」の選び方(後編)――LoRaWANと独自LoRaはどっちがいいか?

前編では、LoRaとは変調方式のことであり、LoRaを採用したLPWAには、LoRaアライアンスが標準化した「LoRaWAN」以外にも、各ベンダーが自社開発した「独自LoRa」もあると紹介した。今回は、LoRaWANと独自LoRaはそれぞれどのようなケースに適しているのか、また具体的にどんなソリューションが提供されているのかを解説する。

大規模に適したLoRaWAN「ネットワークサーバがあるLoRaWANは、多数のゲートウェイを設置する大規模環境に向いている」。こう説明するのは、マクニカネットワークスでLPWA事業推進部部長を務める白土誠氏だ。

なぜ、ネットワークサーバがあるLoRaWANが大規模環境に適しているのか。これは、大規模な無線LAN環境では、無線LANコントローラが基本的に不可欠なのと同じ理屈である。

無線LANアクセスポイント(無線LAN AP)にPCやスマートフォン、タブレットといったエンドデバイスが接続するように、LoRaWANゲートウェイにも温湿度センサー、加速度センサー、GPS、流量センサーなどの様々なエンドデバイスがつながる。何台もの無線LAN APを利用する大規模な無線LAN環境では、それらの無線LAN APを一元管理するための手段として無線LANコントローラを使う。それと同様に、LoRaWANゲートウェイの数も100台、1000台、さらには1万台規模になると、ネットワークサーバが欠かせない。

現在、日本各地で大規模なLPWAネットワークの実証実験が展開されているが、SIGFOXなどのLPWAはさておき、ローラを利用する場合はLoRaWANが採用されている。一例として、ソフトバンクは静岡県藤枝市、NTT西日本とNTTネオメイトは福岡県福岡市、KDDIとシスコシステムズは北海道でLoRaWANの広域ネットワークを実証実験のために構築している。

LPWAネットワークの展開で日本に先行する海外でも、市や国レベルの広域LPWAネットワークをローラで構築する場合は、LoRaWANが採用されているケースが多い。

ネットワークサーバのベンダーとして有名なのは、「ThingPark Wireless」を提供する仏Actility(アクティリティ)だ。「世界中で使われているネットワークサーバの70%はThingPark Wireless」と同社はアピールする。例えば、フランスのオレンジ、オランダのKPN、ベルギーのプロキシマス、スイスのスイスコム、そして日本のソフトバンクなど、世界の大手通信事業者がアクティリティの顧客として名を連ねる。

ThingPark Wireless以外のネットワークサーバとしては、スイスのLORIOT(ロリオット)が提供する「LORIOT NETWORK SERVER」、同じくスイスのOrbiwise(オービワイズ)が提供する「orbiWAN」などがある。カナダ全土でLoRaWANを構築するとアナウンスしているカナダの通信事業者eleven-xはOrbiwiseのネットワークサーバを採用したと発表。また、韓国全土にLoRaWANのネットワークを作ったSKテレコムは、韓国のContela(コンテラ)が提供するLoRaWANのネットワークサーバを利用している。

月刊テレコミュニケーション2017年8月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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