マーケット&業界トレンド

携帯4社の次世代インフラ戦略を読み解く[第4回]

NTTドコモのLTE戦略(前編)――100Mbps化はいつ実現するか?

文◎藤井宏治(IT通信ジャーナリスト) 2010.05.28

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いよいよNTTドコモのLTEサービスが今年12月にスタートするが、2GHz帯をLTEの主力としていること、人口カバー率の低さなど、ドコモのLTE展開シナリオにはいくつか特徴的な点がある。ドコモのLTE戦略を2回にわたって読み解く。

大都市圏限定でLTEを展開する理由

2GHz帯の利用に加えてドコモの基地局開設計画の大きな特徴が、次世代システムの人口カバー率が4社の中では最も狭いことだ。2014年度末時点で、2万700局という多くのLTE基地局を設置しながら、そのエリアは人口カバー率で51.1%にとどまる。この数字は、政令指定都市をカバーするだけで、ほぼ実現できるものだ。

人口カバー率が低いのは、ドコモがLTE導入の最大の目的を高速化ではなく、データ通信ネットワーク全体の容量拡大に置いているためだ。これによりHSPA導入急増するトラフィック対処すると同時に、他社が提供できないオンリーワンのサービスの提供が可能となり、競争力の向上が見込める。

そのためには、まずトラフィックの集中する大都市圏でLTEを整備したほうが効率的である。逆に、ルーラルエリアは現行のHSPAネットワーク容量に十分に余裕があるので、LTEを整備する必要性は小さい。

都市部に限定したエリア展開は、設備投資の抑制にもつながる。ドコモは2014年度末までに2GHz帯で1万5000局の基地局を整備するが、これに対する投資額は2279億円。1局当たりのコストは1500万円程度とかなり安価に抑えられている。

単価が安い最大の理由は、既存設備を共用するためだ。ドコモでは、既存の2GHz帯基地局にLTEの基地局設備を併設、またアンテナも既存のW-CDMA/HSPA用を共用することを想定している。また、設置場所が大都市圏に限られるので、設置作業も効率化できる。

さらに、1つの基地局装置で、多数の基地局をサポートできるようにドコモは、LTE対応の光張り出し型基地局をNEC、富士通、エリクソン、パナソニックモバイルコミュニケーションズ(ベースとなる機器はノキアシーメンスネットワークスから調達)の各調達メーカーと共同開発している。

一方、新規に割り当てられる1.5GHz帯については、2014年度末までに1151億円かけて5700局を整備する計画だ。1基地局当たりの投資額は約2000万円と、2GHz帯に比べるとだいぶ割高になっている。ドコモは1.5GHz帯用の基地局ロケーションを東名阪にしか持っておらず、その他の地域では新たにロケーションを確保する必要があることが、単価増の大きな要因とみられる。

ドコモのLTE導入シナリオの詳細とは?

では、ドコモがLTEをどのような形で具体的に展開していくのか、時系列で整理してみよう。

 

図表 NTTドコモのLTEロードマップ(クリックで拡大)
図表 NTTドコモのLTEロードマップ

 

《STEP1》2010年12月:37.5Mbpsでのデータ通信サービス立ち上げ


ドコモはLTEのメインバンドと想定している2GHz帯に20MHz幅の割当を受けており、都市部などではW-CDMA/HSPAの搬送波(5MHz幅)を最大で4波立てて運用している。LTEの導入が最優先されるのは、すでに4波をめいっぱい利用している基地局ということになる。

ドコモが明らかにしてプランでは、4波のうちまず1波をLTE用に振り向ける。つまり、ドコモは当初、LTEをフル規格の4分の1の5MHz幅で運用する計画だ。LTEの規格上の最大通信速度は下り173Mbps(150Mbps)だが、サービス開始時は運用帯域がフルスペックの4分の1にとどまるため、下り43Mbps(37.5Mbps)となる。

2GHz帯の4波をすでにW-CDMA/HSPAで使用している基地局では、5MHz幅を空けるために、その帯域のトラフィックを2GHz帯の他の帯域や新800MHz帯、1.7GHz帯で吸収する必要がある。そのため、LTEの導入前後、2010年後半~2011年前半は、ドコモは該当する地域で厳しいトラフィックのやり繰りを迫られることになる。ドコモはデータ定額ユーザーを対象に2009年からデータ量規制を実施しているが、これにはLTE導入に向けた措置の側面もあると考えられる。

もちろんW-CDMA/HSPAの搬送波数が3波以下の基地局では、単純にLTEの搬送波を追加する形で導入できる。

2010年3月期決算の記者説明会では、当初のサービスエリアを東京、名古屋、大阪の3大都市とし、2010年度中に約1000局の基地局を整備するプランが明らかにされた。同年度中の投資額は350億円。なお、羽田空港などの屋内エリアについてはW-CDMA/HSPA2波分10MHz幅の帯域を利用して、当初から86Mbps(75Mbps)のサービスが実施される。

 

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