「位置情報」が生む新マーケット[前編]――動き始めた“ARビジネス”

位置情報を活用したアプリケーションの
なかでも特に注目度が高いのがAR(拡張現実)
位置情報の活用領域が拡大し始めた。モバイルと位置情報の連携により、ユーザーの“いま”に即応したサービスを提供。今後のモバイルビジネスの鍵を握る要素といっても過言ではない。
動き始めた“ARビジネス”
「こっちに空いてる駐車場があるよ」
スマートフォンを目の前にかざすと、現実の風景にかぶさって駐車場のある方向と「満車」「空車」状況を示すマークが浮かび上がる――。三井不動産販売とアットウェアは5月末、iPhone/Android端末向けに、ARを活用した時間貸し駐車場「三井のリパーク」の検索サービスを開始した。ユーザーの周辺にある駐車場の位置と混雑状況を表示。マークをタップすると目的地までのルート案内も利用できる。
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| 三井不動産販売とアットウェアが5月から提供開始した「三井のリパーク」の情報検索サービス。画面には駐車場の位置と混雑状況を示すマークが浮かぶ |
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| 地図アプリと連動して現在地から目的地までの経路検索も利用できる |
地図上の目的地検索と違って、直感的に目的地の位置と方向が分かること、そしてリアルタイムで混雑状況が分かるため“いまから停められる”駐車場を探せるという点がミソだ。
このサービスは、オランダのSPRXモバイル社が提供するARブラウザ「Layar」を利用している。LayerはApp StoreやAndroid Marketで無償配布されており、公開されているAPIを使って誰でもLayar向けにARコンテンツを配信できる。国内ではアットウェアのほか、SPRXモバイル社とパートナー契約をしているシステム・ケイがコンテンツを配信している。
アットウェアは2月から、このLayarへのコンテンツ配信を支援するASPサービス「あっと! ASPサービス」を開始した。SPRXモバイル社のサーバーへのコンテンツ投入などを行い、顧客企業はコンテンツを用意するだけでいい。現在、先述の三井のリパークのほか、じゃらんがこれを利用し「今から泊まれる宿検索」を配信している。
| 図表 アットウェアのARコンテンツ配信サービス「あっと! ASPサービス」 |
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ARコンテンツ販売も可能に
ARといえば、国内ではセカイカメラが圧倒的な知名度を誇るが、アットウェアがLayarを選んだのには理由がある。同社取締役・サービス創生事業部事業部長の北野弘治氏は、「1つはAPIがオープンで参入しやすかったこと。2つ目はiPhoneとAndroidのマルチ対応だったこと。もう1つ、ビジネスユースにマッチしていたこと」を理由に挙げる。APIの公開、マルチ対応についてはセカイカメラも追随しているが、重要なのは最後の「ビジネスユースにマッチしていた」という点だ。
Layarは、CPが配信するARコンテンツをユーザーが自由に選択して表示できる“ブラウザ”として機能する。見た目は、位置座標情報に基づいて設置された「エアタグ」を表示するセカイカメラに非常に近い。だが大きく異なるのは、セカイカメラではユーザーの投稿や店の情報などまさに玉石混交のタグが一挙に浮かぶのに対し、Layarではリストから例えば駐車場や不動産物件といったコンテンツを選んで表示できることだ。
また、5月に行われたバージョンアップで有料コンテンツの配信が可能になったことも、今後のビジネス展開を考えるうえで重要な要素だ。
同事業部の梶平昌邦チーフマネージャーが「ARは夢を感じられる技術。人の生活や行動を支えるものになっていく可能性がある」と語る通り、ARへの注目度は高い。認知度がさらに高まりユーザーが拡大すれば、コンテンツ販売による収益化にも期待は膨らむ。
[後編]増える企業導入、狙いは“業務改革”

月刊テレコミュニケーション2010年7月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)